沖縄県ソーシャルワーカー協議会 2023年2月18日現在
幹事団体:沖縄県医療ソーシャルワーカー協会【会長:新垣哲冶】
沖縄ソーシャルワーカー協会【会長:高嶺 豊】
沖縄県精神保健福祉士協会【会長:西銘 隆】
沖縄県社会福祉士会【会長:石川和德】
ロシア軍が昨年2月24日にウクライナに侵攻して既に1年になり、民間施設への無差別爆撃など、暴挙はさらに拡大している。私たち沖縄県ソーシャルワーカー協議会は、ロシア軍によるウクライナ侵攻を直ちに中止し、話し合いによる解決を模索することを求める。私たち沖縄県ソーシャルワーカー協議会は、社会正義、人権、人間の尊厳の観点から、名もない多くの人々の声を代弁する者として、人々があらゆる縛りや拘束から解放され、良好な関係を生むこと、人が人として生活し、尊重しあう世界を望む。
・ ロシア政府は、軍事演習と称してウクライナ国境に十数万の軍隊を集結させ、突然、2022年2月24日にウクライナへ侵攻した。軍事力による隣国の侵略・体制崩壊を試みる暴挙である。
・ 2022年6月 27 日の G7首脳声明においては、被害が網羅的に示されており、「人道支援」の 項において、ロシアによるウクライナ侵攻と一般市民及び民生インフラに対する無差別攻撃が 多大な人的被害をもたらしていると指摘され…我々は、ウクライナにおける民間人及び非戦闘員に対する継続中の攻撃、重要インフラ、学校や幼稚園、医療従事者や施設に対する組織的な標的化、さらに紛争に関連した性的及びジェンダーに基づく暴力を最も強い言葉で非難する、と述べている.[1]
・ 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は8月22日、侵攻開始から民間人5587人が死亡し、7890人が負傷したとの推計を発表した。 実際の犠牲者数はさらに多いとされている。[2]
・ 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウクライナでは2月24日以降、4100万人以上いる人口の3分の1が家を追われた。現在起きている中で世界最大の難民危機だと指摘している。また、現時点で欧州に逃れたウクライナ避難民は660万人を超えると推定されている。[3]
・ ロシア軍のウクライナ侵攻後、小麦粉等穀物の輸出国であるウクライナからの輸出が停滞し、世界的な小麦粉等の不足、値段の高騰が続いている。さらに、食料品全体の値段の高騰を引き起こしている。また、ロシアへのG7諸国の制裁により、原油や、天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、全世界の世帯を直撃している。さらに、世界的に資源不足に陥り、石炭や、火力発電、原子力発電への復帰が進み、環境破壊や、気候変動への国々の取り組みが停滞している。
・ 日本では、ロシアのウクライナ侵攻後、ガソリン価格の上昇は高止まり状態で、今年に入ってさらに食料品や電気・ガス料金などを含めた値上げが予定され、国民の暮らしを直撃している。賃上げの実感が乏しい中、家計への負担は増す一方である。特に、低所得者層への打撃は顕著で、政府のガソリン代・電気料金補助や市町村・民間団体による食料品の無料配布などで対応しているが、焼け石に水の状態が続いている。
・ 唯一の被爆国である日本は、ロシアによる核兵器使用の脅しを全面的に反対する。今回の沖縄県ソーシャルワーク学会・社会福祉公開セミナーにおいて、被爆者が被曝77年後、様々な苦難を経験したことを学んだ。私たちは、核兵器の使用は絶対あってはならないことを希求する。
私たち沖縄県ソーシャルワーカー協議会は、ソーシャルワーク専門職として、戦争という政治的手段が、人々が希求するウェルビーイングや社会正義を著しく傷つける行為であり、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」にいう「社会正義」、「人権」、「集団的責任」、「多様性の尊重」の原理に反することを強く認識し、全面的に反対することを強く言明する。
私たちソーシャルワーカーならびにソーシャルワーク専門職は、戦争の発動やその可能性について常に監視し、「ソーシャルワーカーの倫理綱領」に基づき、反対の意志を明確に表示するとともに、社会的結束を図り、その防止・廃止のための必要な行動をとることを強く確認する。
[1] 「ロシアのウクライナ侵攻による人道上の被害 ―G7 及びその他の諸国、国連総会、国際機関や NGO の対応と評価― 」国立国会図書館 調査及び立法考査局 外交防衛課 上原 有紀子・青井 佳恵、2022年9月20日発行
[2] https://jp.reuters.com/article/us-ukraine-crisis-6months-war-numbers-idJPKBN2PV09J
[3] 同上