毎年、海の日は「ソーシャルワーカー・デー」
ソーシャルワークを専門職スキルとして活動するソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士などの、活動を普及・推進する日として、毎年7月の海の日に設定しています。
2022年7月18日掲載 琉球新報 論壇
【海の日は、ソーシャルワーカーデー】
「社会福祉士って何だろう?」那覇市 社会福祉士 石川和德(S43.9.19生)
毎年の「海の日」をソーシャルワーカーデーとしていることをご存じだろうか。
海はすべてを包み込み、生命を生み出す母胎であり、力強さにあふれていることから、「海」をソーシャルワーカーの象徴として、ソーシャルケアサービス従事者研究協議会は、平成21年7月20日より「海の日」をわが国のソーシャルワーカーデーと定めたのである。
ソーシャルワークとは、基本的人権の尊重と社会正義に基づき、福祉に関する専門的知識と技術を用いて、生活上の困難や悩みをかかえる人に寄り添い、共に解決を図り、幸福と自立した生活を支援すること。そして、このような支援を行う専門職のことをソーシャルワーカーと呼び、わが国では国家資格として、社会福祉士と精神保健福祉士が定められている。両者は、他者に対して支援を行うプロということでもある。
ソーシャルワーカーデーにちなみ、社会福祉士の活動について紹介する。戦後日本の福祉は保護施策が中心だった。介護は家族が担う、特に女性が中心になって行うことが慣習になっていた。しかし、高度経済成長と共に、晩婚化・核家族化が進む一方、独居高齢者や高齢者夫婦が増加した。また、医療技術の進歩により平均寿命が延びたこともあり、少子高齢化への対策が課題となった。このような背景から、昭和62年、社会全体で高齢者を支えていく制度作りが求められ、介護の担い手としての専門家である介護福祉士を、そして、福祉の相談援助に関する専門家としての社会福祉士が国家資格として定められるようになったのである。
社会福祉士の活動の場は、高齢・障がい・児童といった分野の他に、生活困窮・医療・教育・司法・行政・外国人支援など多岐にわたり、対象も特定の個人だけではなく、8050問題と言われる、高齢者と子の孤立世帯、虐待とも絡むヤングケアラーや、親と子どもの介護といったダブルケア世帯、借金や住居の問題を併せ持つ世帯など、支援の対象は複雑化・複合化してきている。これらは、私たちが暮らす地域、県・国といった社会の問題でもある。
今、幸せを感じられない人が増えている。国の福祉施策は、制度・分野ごとの関係を超え、地域の多様な主体が参画し、人や社会とのつながりを実感し、一人ひとりが生きがいを持って暮らせる、誰一人取り残さない、地域共生社会の実現を目指している。社会福祉士はその一翼を担っているのである。
沖縄県社会福祉士会では、そんな愛の溢れる福祉社会の実現に、心を尽くす社会福祉士の紹介動画を作成した。7人の士の志を感じていただければ幸いである。(1044文字)