公開質問状 回答 2022/6/30(木) 受付
【イハ洋一】公開質問状 回答
質問1 福祉現場の人手不足の解消について
質問2 在留外国人の人権保障について
現行の入管制度をめぐっては、法務省の判断で在留資格を失った外国人を全て施設に収容できる「全件収容主義」がとられ、在留外国人に対する長期収容や非人間的な扱いが放置されてきました。名古屋出入国在留管理局に収容中に死去したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんをはじめ、2007年以降だけでも入管施設で17人もの死亡者を出しています。全件収容主義を改め、収容には司法判断を必須とし、収容期限に上限を設けることが必要です。入管施設に収容されている人を仮放免できる制度の拡大、個々の事情を考慮した柔軟な在留特別許可制度への改善に取り組みます。
外国人技能実習制度は、「技能移転」による「国際貢献」を名目としながら、その実態は、安価な労働力の供給手段になっています。残業代の不払いやピンはね、パスポート取り上げ、セクハラ、性的暴行など、きわめて深刻な人権侵害の温床となっています。外国人技能実習制度は廃止すべきと考えます。
日本の難民認定者数は、諸外国と比べ極端に少なく、「難民鎖国」と批判されてきました。難民条約における「難民」の定義をあまりにも狭く解釈していること、難民認定行政と出入国管理行政が分離されていないことなどが背景にあります。「難民」の定義を緩和するとともに、難民行政を入管行政から独立させることが必要です。難民申請者の生活保障も拡充すべきです。
質問3 虐待・孤立・認知症施策等の地域課題について
沖縄県は、国が2021年度に創設した「重層的支援体制整備事業」について、各市町村の相談支援体制等の実態を調査し、各市町村向けの研修や講習会、個別相談会の実施を通じて市町村の取り組みを後押しすることとしています。こうした連携を通じて具体的な課題を明確にしながら、市町村の取り組みを支援していくことが必要です。地域で解消できない制度上の課題については、国に改善を求めていきます。
質問4 罪を犯した高齢者・障がい者・生活困窮者に対する福祉的支援について
犯罪や非行をした人の中には、刑期を終え、地域に戻った後に再犯を繰り返してしまう場合が少なくありません。貧困や依存症など地域社会で生活する上で様々な困難を抱えていることが背景にあります。認知症などの高齢者や知的障がい者の再犯防止には、医療や住居・施設の確保などの福祉的支援も必要です。
沖縄県は2020年3月、「沖縄県再犯防止推進計画」を策定しました。同計画にそって、就労支援や住居・施設の確保、家賃支援、依存症を含む相談支援などを進めることが重要です。
質問5 沖縄県の貧困対策・低所得者対策について
沖縄県は2016年3月、「沖縄県子どもの貧困対策計画」を策定し、子どもの貧困対策を推進するために30億円規模の基金を設置して対策に取り組んできました。待機児童数の減少、高校・大学等の進学率の上昇、正規雇用の増加など一定の成果を上げていますが、依然として改善状況は十分とは言えず、継続的な取り組みが必要です。沖縄県は21年度末で期限を迎えた基金の設置期間を31年度まで延長し、約57億円の予算を基金に積み増して、今後も対策を継続することとしています。
同時に、国の対策を拡充することが必要です。国の教育予算を先進諸国並みに増額し、奨学金返済の免除や給付型奨学金の拡充を図ります。高等教育、幼児教育・保育、学校給食、子ども医療の無償化をめざします。
親の就労や生活を支える包括的な支援を行います。中小企業を支援しながら最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、さらに1500円をめざします。労働者派遣法の抜本改正や公契約法の制定に取り組みます。所得が低いほど重くのしかかる消費税は5%に減税します。
質問6 ヤングケアラーの状況把握と支援体制の整備について
沖縄県が2022年2月に公表したアンケート調査で、ヤングケアラーと思われる子どもが県内で少なくとも1088人(全児童生徒の0.86%)確認され、少なくとも523人は学校生活に影響が出ていることがわかりました。学級担任を対象とした調査だったことから、県は9月、小学5年生から高校3年生の児童生徒を対象にした調査を実施する予定です。こうした取り組みを通じて実態を把握し、関係する部局が連携し、個々の実情に即した支援につなげていくことが必要です。
日常的に家族の世話や介護をするヤングケアラーは、年齢が低いほどその自覚がなく、「当たり前のお手伝い」として認識していることが少なくありません。家庭内の責任、自己責任とせず、国が福祉に対する責任を果たし、子どもたちの負担を軽減することが重要と考えます。
質問7 身元保証がない方に対する支援について
成年後見人制度の利用がすすまない背景には、被後見人の意思がしっかりと尊重される仕組みになっていないことがあります。後見人となった親族や弁護士・司法書士などの専門職が本人や家族の意向と異なる判断を行い、預貯金を横領するなどの事例まで起きています。成年後見制度を被後見人の意思決定を支援する制度に改めることが必要です。そのうえで、沖縄県が研修や個別の相談を通じて市町村の取り組みを支援することが必要です。
質問8 ハンセン病回復者への医療・介護支援について
政府がハンセン病患者に対する隔離政策の誤りを認め、元患者に謝罪したのは2001年のことです。また、2019年には、患者家族に対する国の謝罪と賠償を求めたハンセン病家族訴訟で原告の勝訴が確定しました。そこでは、国が家族に対する偏見差別を形成、維持、強固にしたことを明らかにし、そのことへの謝罪と周知が必要と述べています。
長年放置されてきたハンセン病患者に対する偏見差別は日本社会の中に根強く残っています。政府は、元患者とその家族の名誉回復、社会復帰と生活支援、在園保障などに全力を挙げるべきです。療養所の職員の増員と処遇改善をはかります。療養所ごとに進められている将来構想の実現を国が責任を持って支援します。
質問9 介護認定の円滑化について
要介護申請から認定までに時間がかかることで新たな救急患者を受け入れることが困難になっている現状は早急に改めなければなりません。現場の意見をふまえながら認定業務のさらなる簡素化などを進めていく必要があると思います。
要介護認定制度をめぐっては、自公政権が2009年、給付費削減のために制度を見直しました。認定の軽度化を招き、「必要なサービスが受けられなくなる」と批判が相次ぎました。問題の根本にある国の介護サービス切り捨ての姿勢を改めさせ、専門家の判断で必要な介護を提供する仕組みに切りかえることも必要です。