令和3年 衆議院選挙 立候補者への公開質問状
2021年10月19日
第49回衆議院議員立候補者の皆様へ
現在の沖縄県において、早急な取り組みと解決が求められいる沖縄県民の生活・福祉に関する諸課題の中から、以下の8問について質問致します。
今回、沖縄県民を代表する衆議院議員に立候補に立候補するにあたり、それぞれの課題について、どのように認識されておられるか、また当選後どのような取り組みをされるのか、具体的なお答え・政策の提示をお願い致します。
質問1 沖縄県の子どもの貧困への改善策について
平成28年1月、沖縄県が全国に先駆けて実施した「子どもの貧困実態調査」により沖縄の子どもの貧困率が29.9%と、全国の約2倍、3人に1人が貧困状態にあるという深刻な結果が明らかとなりました。その後、平成30年12月の2度目の調査結果で25%となり4.99ポイント改善するものの、その後の新型コロナウイルス禍の状況下において事態はさらに悪化していることが予測されます。子どもの貧困問題は世帯としての貧困状況を表す経済的な問題であるとともに、子どもにとっての経験や機会の公平性、つながりの希薄化など、社会生活に様々な影響を与えることになります。
このような沖縄県の、特に将来を担う子どもの貧困状態の改善に向けて、今後国政の中で、どのように取り組まれるご予定ですか? 具体的にお聞かせ下さい。
質問2 沖縄県の貧困対策・低所得者対策について
沖縄県は、子どもに限定しない県民全体の貧困率においても全国平均の約2倍となり、県民の年間所得・平均賃金などが、全国47都道府県中最下位又はそれに近い状況にあり、生活保護率も依然高い比率を示しており、このような家計の苦しさは、様々な生活困難や社会問題の大きな原因になっていると言えます。
また、今回の新型コロナウイルスの世界的パンデミックは、すべての人の日常生活に影響を与え、コミュニケーションのあり方や人間関係、働き方など多くの面において、これまでとは大きく異なる社会の到来が予想されています。そのような影響は、特に貧困層、障害のある方々の生活様式や支援のあり方にも大きな影響を与え、様々な生活格差の拡大や不利益の拡大が懸念されています。
このような沖縄県の貧困対策、低所得対策、特にコロナ禍に関連する家計への支援は喫緊の課題であると言えますが、当選後、このような沖縄の貧しさについて、どのような政策提言をされ、どのような取り組みを予定されているのか、具体的にお聞かせ下さい。
質問3 権利擁護の市町村体制整備について
高齢化の進行と、人口の減少は、福祉ニーズにも表れ、世帯の孤立、いわゆる8050問題、介護と育児等のダブルケアなど複雑化・多様化を見せております。そのような状況から政府は地域共生社会の実現を目指しております。我々ソーシャルワーカーは、それに資する専門職としてその一翼を担っております。社会福祉法改正により創設された「重層的支援体制整備事業」では、相談支援の体制はもとより、参加支援、地域づくりに向けた支援等が求められております。権利擁護の体制づくりは、正にそのような地域共生社会をデザインするということです。虐待防止や差別の解消、成年後見制度等の権利擁護の体制整備について、沖縄県の現状は全国的に見て遅れております。
このような状況を変えていくために何が必要か、候補者自身のお考えをお聞かせ下さい。
質問4 身元保証がない方に対する支援について
医療現場において、身寄りがいないために、身元保証を付ける事ができない入院患者の転院先や施設入所先が制約され、権利が侵害されている現状があります。転院先や施設入所先が保証人を求める理由は多岐にわたり、保証人代行を有償で行っている民間団体が増えてきていますが、様々な問題点を抱えていることも指摘されています。加えて、経済的な事情で、身元保証代行団体と契約金等が捻出できず、利用できない方もおられます。
高齢化及び家族機能の縮小に伴い、身寄りがなくかつ判断力の低下した方が増加する状況にあります。このような方々が、安心して医療や介護を受けられるようにすることは喫緊の課題であると考えます。特に、成年後見制度はその課題への対処方法の一つとして有効と考えますが、市町村の取り組みに差があること、担い手が不足していることなど、利用者ご本人がメリットを実感できる制度になっていないなどの課題もあります。
このような状況にどう対応をするべきか、候補者自身のお考えをお聞かせ下さい。
質問5 ハンセン病回復者への医療・介護支援について
ハンセン病患者は、国による絶対隔離政策により、療養所に隔離され厳しい差別を受けてきました。入所せずに地域で暮らしてきた回復者や家族達もまた、偏見や差別にさらされてきました。
沖縄県は、全国でも最も多くのハンセン病回復者(退所者・入所歴のない人達)が地域で生活しておられます。しかし、そのほとんどの方々は、ハンセン病への差別や偏見を怖れ、そのことを隠し続けて生活しているのが現状です。そのため、地域の医療機関で受診することを躊躇し、後遺症を悪化させる事例も少なくありません。
療養所を退所した人達の高齢化が進み、抱える問題も深刻さを増してきています。ハンセン病回復者で暮らし続ける当事者や家族が、あたりまえに暮らせる社会づくり、あらゆる偏見や差別を無くすため、国会議員としてどのような対応をするべきか、候補者自身のお考えをお聞かせ下さい。
質問6 子ども家庭福祉に従事する資格者配置のあり方について
厚生労働省は、児童虐待に対応する児童福祉司などの専門性を高めるため、「子ども家庭福祉」を専門とする新たな国家資格を創設する検討に入りました。子ども家庭福祉領域全般においては、児童虐待に限らず、里親制度の普及推進、子どもの貧困、子育てのしづらさ、地域社会における孤立化、ヤングケアラー、低出生体重児へのケア等の多様な課題が存在しており、それぞれの領域を横断的に活動できる人材が求められます。
私たちは、新たな国家資格を創設する以前に子どもや家庭を中心に、幅広い領域で専門性を発揮し対応できる人材である社会福祉士や精神保健福祉士がさらに配置されるべきであると考えていますが、候補者自身のお考えをお聞かせ下さい。
質問7 スクールソーシャルワーカーの増員と常勤配置化の推進
スクールソーシャルワーカーは、児童生徒やその家族との信頼関係を築き、関係機関との調整や地域の社会資源の活用や開発、ネットワーク構築などの重要な役割をもっています。
文部科学省では令和元年度に1万人余のスクールソーシャルワーカーを配置しておりますが、週に1~2回の勤務ではこれらの活動が困難です。常勤職であれば児童生徒にさらに継続的な対応が可能となり、より適切な支援をおこなうことができます。
沖縄県においては、宜野湾市などの様に、令和3年度も全校配置(13校)、センター配置(4中校区にて各1名のコーディネーター)、そして全体を統括するアドバイザーを配置して、成果を上げている市町村もあります。
こどもの貧困やヤングケアラーの貧国など、今般沖縄県でも課題になっていますが、それらに対応できるスクールソーシャルワーカーの増員と常勤化設置について、当選後、どの様な政策提言ができるか、ご意見をお聞きかせ下さい。
質問8 沖縄県における自殺対策について
近年、我が国の自殺者は減少傾向にありましたが、令和2年の自殺者数は21,081人であり、対前年比912人(約4.5増で、11年ぶりに増加に転じました。沖縄県では前年と比べ、自殺者数249名から214名へ、自殺死亡率は17.1から14.7へ2.4ポイントと数値は下がったものの、以前楽観視できないと現状と考えます。自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、家庭、健康、経済、対人関係、仕事、学校など様々な要因が連鎖する中で起きています。
現在のコロナ禍においては、個人の生活は社会的影響をより受けやすい状況にあると思われますが、特に県民の自殺予防対策について具体的な施策をお聞かせ下さい。
以上