質問1 子どもの貧困対策、待機児童に対する課題について
沖縄県は出生率で全国一の県ですが、同時に子どもの貧困率(全国平均の1.8倍)及び待機児童問題(10万人人口比率では全国一)は沖縄県の重要な課題となっています。
子どもの貧困について、世代間連鎖も認められ、一時的な現象ではなくその後の生活に多大な影響を及ぼすことは周知の事実です。待機児童については、平成27年から「子ども・子育て支援新制度」が始まり社会の注目が集まっています。具体的な対策として認可保育園の増設等が挙げられていますが、一方で保育士の人員不足は深刻化しています。保育士不足に関しては、保育士資格のある者の活用のみが主な方策のように論じられているのが現状としてあります。
私たちソーシャルワーカー専門職団体の構成員の中で、いじめ、不登校、暴力行為、虐待、貧困等の問題解決のため環境に働きかけるスクールソーシャルワーカーとして学校現場で働き、成果を上げている事例も多くみられます。
子育て支援という重要な政治課題として、沖縄県の子どもの貧困対策、適切な保育・子育て環境整備、保育士のマンパワー不足について、どのような改善策を取り得るのか、具体的な内容をお聞かせ下さい。
質問2 障害者のためのアパートの公的保証人制度について
病院や施設に入院、入所している方で保証人がいない等の理由により地域での生活に移行できない障害者がいます。現行の居住サポート事業は保証人を1人は立てなくてはならないので、使い勝手が良いとは言えず、公的保証人制度のさらなる充実が不可欠ですだ、この課題に対して、どのような具体策をお持ちでしょうか、お聞かせください。
質問3 認知症患者への対応について
超高齢化時代を背景に、認知症患者が急増し、徘徊等の結果、重大な事件、事故に巻き込まれて、家族に多額の賠償請求が出た事例も発生しています。
認知症になっても本人、家族が安心して生活ができるために、認知症による事件、事故に対する抜本対策が求められており、特に以下の三点についての整備が急務であると考えられ、それぞれについて対応策をお持ちか、お答え下さい。
①相談窓口の周知と整備
市町村の介護長寿課や地域包括支援センターが高齢者支援の窓口(相談・具体的支援のアドバイスや必要なサービスの紹介)として機能していることについて広報活動を通し多くの地域住民に周知する。さらにより生活に身近な単位(自治会や市町村レベル)に相談しやすい窓口を設置するなど、住民が社会サービスとして利用しやすい環境が不足している。
②認知症の理解や早期発見の重要性
認知症の発見の遅れが重大な事故等が生じている現状を踏まえ、早期発見・対応が事故等を未然に防ぐことにつながる。高齢者に限らず若年性の認知症の問題も深刻化していることも踏まえ、特定健診や職場での健康診査に認知症のチェック項目を追加することも早期発見に有効と考えられる。健診で認知症が疑われた方に対する相談窓口のシステム化について具体策について、お答え下さい。
③スムーズな制度利用と現状に合った制度改革
スムーズな制度利用には、利用する本人・家族・行政・包括支援センターが認知症による生活の困りごとに対して共通の課題認識を持つことが有効である。上記に示した相談窓口の周知や認知症の理解、早期発見を進めていくことが、結果スムーズな制度利用を実現が必要である。
また、介護保険制度において特に初期~中期認知症者は認知的な問題はあっても身体介護の必要性は低い。徘徊などのトラブルがあっても要介護度が低く出るため、多彩なサービス利用ができず昨今の問題になり、認知症者の現状に応じた審査制度の在り方も再検討の必要性があるが、その点についての方策をお伺いします。
質問4 社会福祉法改正による弱小社会福祉法人への対策等につい
て
平成27年に社会福祉法が改正され、これまでの日本の事業の一翼を担ってきた社会福祉法人のあり方が抜本的に変わろうとしています。しかし、今回の法人改正によって、社会福祉法人の経営の透明性等が確保される反面、一法人一施設の、いわゆる弱小法人にとっては、経営的に多くの負担が生じ、崩壊の危険性すら生じかねない内容を含んでいるのは明確です。
今後の日本の社会福祉事業の将来において、社会福祉法人はどのような役割・あり方に対するお考えをお聞かせください。
質問5 特に災害弱者に対する災害時における対応策について
東日本大震災や熊本大地震など、近年、日本各地で大規模な自然災害が発生し、多くの犠牲者を出していることはご承知のとおりです。沖縄県においても、これら自然災害が発生する可能性は歴史的に見ても皆無とは言えず、何らかの策を講じる必要があることは明らかです。
島しょ県である沖縄県において、特に多くの障がい者や高齢者など、いわゆる災害弱者と呼ばれる方々に対して、特別の配慮と周到な準備や支援体制が必要であることは言うまでもありませんが、国政レベルから観た、特に沖縄県内の上記社会的弱者に対する防災体制や災害時の対応策をどのように検討し、体制を確立していくのか、その手順等も含めてお聞かせください。
質問6 地域包括ケアシステムの構築と支援の必要性
2014年6月18日に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)が国会で成立しました。2015年度からは在宅医療・介護連携推進事業が地域支援事業に位置づけられ、全国の市区町村が中心となって取り組むことが決まり、2018年4月には全ての市区町村で実施することになりました。しかし、全国調査では、先進的に取り組んでいる市区町村でもその実態は、「人口5万人以下の小規模自治体で、介護関係部署が責任部署を担いながら、少ない人数で事業を推進している。医師会等との調整はある程度始まっているが、関係団体等との調整業務は最も難しい課題だと感じており、都道府県からの支援を最も強く求めているところである。」事業項目の中でも、「特に<切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進>の実施が 最も負荷が高いと感じている」という結果であります。今後、へき地や離島を抱える本県においても、市町村間で充実度にばらつきを生む状況がでてくるのではないかと懸念されていることから、それらに対する対策をお聞かせください。
質問7 持続可能な社会保障、過不足ない医療や介護の提供のため
に
「国民医療推進協議会」は、2004年10月に「国民の健康の増進と福祉の向上を図るため、医療・介護・保健および福祉行政の拡充強化を目指し、積極的に諸活動を推進すること」を目的に、日本医師会が呼びかけ各医療関係者団体等が加盟する組織です。
2011年には「受診時定額負担制度」の反対決議、2012年度は、TPP反対および国民皆保険制度の維持を目的として決議、2013年度には、国民皆保険制度の維持と消費税問題の解決を採択するなどの活動をしています。2014年度は、国民皆保険制度維持のための財源確保について決議し、2015年度は国民に必要かつ十分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保等を求めるため「国民医療を守るための国民運動」の展開を決議しています。
未曾有の小子高齢化が進展し、社会保障費は医療・介護等を中心に今後も増加することが見込まれます。持続可能な社会保障、過不足ない医療や介護の提供のため、どのような施策が必要か、対応策をお聞かせください。
質問8 ハンセン病患者およびその家族に対する対応について
「ハンセン病患者に対する強制隔離、差別は、国・地方自治体の政策として進められたものであるが、それが長期にわたり続けられたことには医学的背景や社会的背景がある。福祉分野においても、時の福祉政策が強制隔離、人権侵害の直接的役割や補完的役割を果たしてきた。この反省に立って、ソーシャルワーカー4団体で構成する社会福祉専門職団体協議会*(社団 日本社会福祉士会、社団 日本精神保健福祉士協会、社団 日本医療社会福祉協会、NPO法人 日本ソーシャルワーカー協会、以下「社専協」とする)は、ハンセン病問題の検証と再発防止はソーシャルワーカー全体の問題であるという認識のもとに、ハンセン病問題の検証と被害実態調査への協力を契機に、ハンセン病療養所退所者等に対する支援活動を開始することになった。」(出典:「社会的に孤立しがちなハンセン病回復者・家族に対する見守り・個別支援に関するモデル事業報告書」2010.3. 公益社団法人 日本社会福祉士会)
「ハンセン病患者は、国による絶対隔離政策により、療養所に隔離され厳しい差別を受けてきましたが、その政策は、家族達をも差別の渦中におとしいれ、家族達もまた偏見差別にさらされてきました。家族は社会内で暮らすゆえに、隔離されている患者本人より過酷なものとなることもありました。偏見差別を受けることを恐れ、患者家族の事を絶対的な秘密として抱えながら生きることを強いられ、ハンセン病患者の家族達も人生被害を被ってきました。2001年5月の熊本判決により国のハンセン病患者に対する隔離政策は断罪されましたが、家族への国の謝罪はなされず、未だに被害回復がなされていません。2016年2月15日に第1陣59名、同年3月29日に第2陣509名が熊本地方裁判所に提訴し、国に対して家族達の被害に対する損害賠償と謝罪広告を求めて、現在闘っています。」(出典:家族訴訟を支える市民の会)
このようなハンセン病回復者・家族の被害に対し、国の責任や、どのような対応をするべきか、候補者自身のお考えをお聞かせください。
質問9 就労継続支援(A型事業所)における障がい者解雇につい
て
岡山県や北海道等においてA型事業所における障がい者の大量解雇の問題がありましたが、本県においても、2016年度に県労働局が受理した「障害者解雇届け出数」が88人となり、前年比の約3.4倍に増加しています(9月1日付の沖縄タイムスの記事)。また、そのうち98%は障害者就労継続支援A型事業所による解雇が占めているという沖縄県の現状に対して、今後どのように対応すべきか、具体的にお答え下さい。
質問10 福祉関係者・当事者との懇談会への参加について
沖縄県ソーシャルワーカー協議会は、社会福祉施策の向上・改善、当事者や社会的弱者と言われる
方々を代弁し、その地位向上を図るためのソーシャルアクションを大きな役割と考え、本協会として、
社会福祉等についての向上・改善を図ることを目的して、関係者を集めた交流会を検討しております。
そのような交流会・話し合いの場等の開催について、どのように考えられますか?また、ご案内した場合のご参加の意向等につきまして、お考えをお聞かせ下さい。
以上、10の項目について、具体的な取り組み、お考えなどをお聞かせ下さい。
平成29年10月11日
沖縄県ソーシャルワーカー協議会
構成 沖縄ソーシャルワーカー協会
沖縄県社会福祉士会
沖縄県医療ソーシャルワーカー協会
沖縄県精神保健福祉士協会